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東京競売ウォッチ

2010年10月18日

第62回半年前の落札物件が開札に

 競売物件では、その瑕疵について、買受人は一般物件に比してリスクが大きいことを十分理解する必要がある。

 特に土地付建物について、権利上の瑕疵である、接道条件や、建築制限などに問題があることが後に明らかになると、買受人にとって、重要な問題になる。

 10月7日開札では、約半年前に落札された、都営新宿線「東大島」駅徒歩7分に立地する土地及び建物が再び開札対象になって現れた。

 この物件は約150坪ほどの敷地に、古い作業所の建物が建っているものだが、今年2月に1回落札されている。当時は売却基準価額2,652万円であったが、これに対し、入札8本が入り、最高価5,647万円にて業者が落札した。

 しかし、今般再び対象になった。これはどうやら、競落した業者が、売却許可の取消等を行ったためと思われる。

 というのも、この物件は現在接道条件を満たしていないが、2月のときの事件記録には数年前に所有者が開発許可を受けているので、それに基づき開発すれば、建築物は建築可能であると記載されていた。そして、売却基準価額もそれを前提に付けられていた。

 ところが、実際は所有者が破産していたために、この開発許可が、白紙になっていたのである。2月の競落者は、この事実を裁判所に申し出たうえ、売却許可を取り消させたように考えられる。

 今回、売却基準価額は1,895万円に切り下げられたところ、今度も8本の入札があり、最高価3,429万円強で落札されていった。

 今度は開発許可リスク承知での落札なのであろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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