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東京競売ウォッチ

2010年9月13日

第57回今年は対象物件数が減少

 9月2日開札では前日1日に30件を超える取り下げがあり、対象物件数が少なかった。前日の取り下げの物件は同じ棟内の複数住戸であったが、おそらくぎりぎりのところで再販業者への任意売却が成立したのであろう。

 さて、今年も夏が過ぎようとしているが、今年のこれまでの対象物件数は1,526件である。あと9回の開札を残しているが、1回あたりの開札物件数を今年の平均値である約72物件とすると、年間で約2,170物件ということになる。これは昨年の2,948物件に比して770物件、率にして約26%少ない値である。

 景気回復が顕著ではない中での大幅減少は、おそらくは昨年成立した中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)の影響が大きいのではないだろうか。

 さて、そんな中、この日の1番人気は東武伊勢崎線「東向島」駅徒歩8分に立地する築約7年のマンション。専有面積約23.5坪、売却基準価額は1,562万円であった。それに対し、入札は49本に達し、最高価3,300万円にて業者が落札していった。

 この物件については、今話題の東京スカイツリーを間近に臨むことができ、そんなことも人気の要因であったのではないだろうか。

 いずれにしろ、物件数が限られる中では、特に人気の中古マンションにおいては競落競争が激しい状況にある。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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