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東京競売ウォッチ

2019年2月26日

第451回 台東区根岸のマンションに入札50本!

 2月14日開札では前回に続き比較的築浅の下町マンションが一番人気であった。そのマンションはJR山手線「鶯谷」駅徒歩約6分に立地する。築13年強の専有面積約17坪で2LDKの部屋で、前回1月24日開札の一番人気マンションによく似たプロフィールである。占有者も明渡猶予6か月対象者であり、この点も同様である。

 どうも売却基準価額が低く設定されることもあるが、城東地域、とりわけ墨田区、台東区などの中古マンションマーケットが良好であることが大量入札の背景にあるように思う。

 さて先の物件の売却基準価額は1440万円であったが、これに対し入札は51本あり、最高価3450万円弱で競落されていった。なおこのマンションの占有者は12年以上前から賃借人として占有していて競売になった事実を知っていて昨年5月から賃料の支払いを止めていたとのことである。

 もちろん競落者への所有権移転までは賃料の支払い義務はあるものの、預入敷金は少なくとも確保できるだろう。占有者が競売事実を知ったのは現況調査より早く、債権者が賃料を差し押さえた時点のようだ。差押で賃料振込口座が変更になったことで債権者に問い合わせ分かったと思われる。本件の明渡しは占有者が予期していたことであり、円滑に進むだろう。これも大量入札の要因でもあるように思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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