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東京競売ウォッチ

2022年8月2日

第612回 オーナーチェンジマンションが高水準落札

 中古マンションの価格上昇は引き続き明らかにで、競売市場では再販業者が強気の入札を行っている。その中で最先の賃借権付きのファミリーマンションについては、空室での再販が叶わないことで業者の入札は少なく、入札本数が比較的少ない。また竸落水準も最先賃借付のファミリーマンションは低いのが一般的である。しかし、7月21日開札では個人が最先の賃借権付マンションを高水準で竸落したのに目を引かれた。

 その物件は東京メトロ日比谷線「入谷」駅徒歩約4分に立地する築9年で専有面積約15坪の1LDKの部屋であった。現在社宅として賃貸中であるが、それは抵当権設定前の賃借権にあたり、競落後も賃貸を継続しなければならない。月額賃料は12.7万円で管理費等や固定資産税等を控除した実質年収は124万円である。

 この条件で売却基準価額は2446万円であったが、結果入札11本で最高価3518万円にて個人が落札していった。実質年利回り3.5%未満という水準で、これには驚かされた。ワンルームマンションは賃貸前提での購入であり、これまでも個人の競落は散見されていてこの日も中野区の1Rマンションが個人に落札されている。しかし、ファミリーマンションは価格総額が比較的大きくなるので、これまであまり個人落札が見られなかったが、どうやら今後は個人もオーナーチェンジのファミリーマンションに入札してくるようになるのかもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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