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東京競売ウォッチ

2014年12月2日

第257回 売却基準価額未満での競落事例

 競売市場の活況は競落水準の上昇にも表れている。先週本欄で紹介した競落事例のように、売却基準価額の18倍超という例も出現している。しかし、その中でも売却基準価額未満での競落になる事例も見られる。

 11月6日開札では、珍しく新耐震基準の築年のマンションが売却基準価額未満で競落されていった。その物件は、西武新宿線「武蔵関」駅徒歩約18分に立地する築28年、専有面積約18坪の4DKのマンションであった。

 売却基準価額1,154万円のところ、入札は3本で、最高価976万円にて再販業者が落札していった。専有面積坪単価55万円未満であるし、滞納管理費も20万円程度であることから、かなり低い水準での競落に思える。しかし、この物件の住戸位置が1階であること、駅から相当の距離があること、そして内部の傷み方が激しいことなどから、入札価格は売却基準価額を超えなかったと見られる。

 市場性が低いということであれば、この日もう1物件売却基準価額を下回った。その物件は八丈島の土地であった。ちなみに八丈島の土地は競売市場に多く登場する。これはバブル経済時代に空港を有する八丈島にリゾート開発が盛んに行われたことにある。

 この日落札されたのは、八丈島空港から約5.5kmに立地する土地で、約1,227坪ある。北東側で幅員9m以上の都道に面しており、海岸にも近いようで、おそらくリゾート施設の開発予定地だったのだろう。

 この土地の売却基準価額は170万円で、これに対し入札は1本のみ、落札価格145万円にて個人が落札していった。坪1,200円であった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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