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東京競売ウォッチ

2011年6月21日

第95回震災後に戸建人気高まる

 震災後、東京における不動産取引は減少の傾向にある。ただし、一戸建住宅のニーズは結構堅調のようで、戸建建売業者の仕入れは活発との話もよく聞く。

 6月9日開札で31本の入札を集めたのは東急東横線「都立大学」駅徒歩約4分の一戸建であった。

 この物件、土地は西側及び南側でそれぞれ幅員6mの公道に面する約30坪。建物は築13年の木・鉄筋コンクリート造地下1階付2階建で、延床面積が約49坪である。

 売却基準価額5,770万円に対し、落札されたのが、その1.6倍強の9,450万円であった。これは建物評価を2,000万円ほどみたところで、土地は1坪約250万円、路線価比15%強高い水準である。

 高グロスの戸建への大量入札に驚いたが、それだけニーズがあると言うことなのだろう。

 またこの日、同じ「都立大学」駅で徒歩約10分に位置する土地に入札10本が集まった。その土地は北側で幅員4mに面する約68坪。売却基準価額9,144万円に対して、その約1.5倍の1億3,550万円にて業者が落札していった。

 これは1坪約200万円に相当し、これは路線価の1.3倍を超える水準である。住宅地として人気が高いエリアならではの高水準競落ではあるが、その背景には戸建人気があるように思う。

 震災後マンションの資産価値に懸念を持った人が戸建指向になるケースも少なくないのだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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