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東京競売ウォッチ

2012年4月10日

第131回 借地権付建物に大量入札

 今年度最後の開札となった3月22日は落札率100%であった。落札1物件あたりの入札本数は8.3本と、11~12本程度であった一時期に比すると、やや低下しているが、満遍なく売却されている。

 そんな中、借地権付建物に大量入札があったのに目を引かれた。

 その物件は、京王線「笹塚」駅徒歩約13分に立地するアパートである。鉄骨造3階建て、築25年を経過している物件で、ワンルーム5戸からなる。現況はすべて空室であり、管理状況はかなり劣悪である。借地面積は約17坪あり、土地所有者は寺である。借地料は月額11,053円で、そんなに高い水準ではない。

 こんな条件で、売却基準価額が638万円であったが、これに対し、入札17本があり、最高価1,289万円にて個人が落札していった。借地権付建物で、売却基準価額の2倍近い競落は結構珍しいと言えるだろう。

 この物件には、かなりの改修コストがかかるものと思われ、それに土地所有者への名義変更料も必要になる。

 しかし、そういったコストを考慮したとしても、年収300万円以上が見込まれるのであれば、先の競落金額で取得したとしても、実質利回りは年15%程度得られる公算だ。

 やはり高利回り物件を求める個人ニーズは根強いようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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