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東京競売ウォッチ

2012年6月26日

第141回 中古マンションの価格低下

 新聞報道では、中古マンションの価格が総じて低下している旨が伝えられている。

 競売市場でも、これを受けてマンションの競落価格の売却基準価額に対する上乗せ率(以下「上乗せ率」という)も、昨年より低下傾向にある。6月7日開札におけるマンションの上乗せ率は約36%であった。昨年1年間の平均は47%弱であったので、10%以上低下していることになる。

 再販業者も再販価格を強気に見られる状況にないのであろう。そんな中でも、この日2番目の大量28本の入札を集めたのは中央区勝どきのタワーマンションであった。

 その物件は都営大江戸線「勝どき」駅徒歩約5分に立地する、築12年で専有面積約21.5坪の2LDKの部屋である。売却基準価額は2,394万円であったが、競落価格は3,651万円で、上乗せ率は約52.5%であった。

 さて、この部屋の2階層ほど上階の同じ間取りの部屋が、現在4,480万円で販売されている。ゆえに競落された部屋の再販価格は4,400万円までと思われる。そこで、再販による利益がどの程度か、推し量ってみる。まず競落会社は競落代金のほか、①登録免許税と不動産取得税合計で約80万円②滞納管理費約100万円③内装費用約70万円④明渡し交渉費約50万円、合計で約300万円必要となる。したがって、原価総額では約3,950万円に達する見込みで、仮に4,400万円で売却できたとして、売却経費(仲介手数料等)を考慮すると(金利は計算に入れず)、粗利は約300万円だろう。対原価で10%以下の利益率である。

 指値の可能性も考えられるので、決して利が厚いビジネスとは言えないように思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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