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東京競売ウォッチ

2014年8月26日

第244回 石川台のマンションに入札69本

 8月7日開札では競落率100%で完売であったが、それよりも対象物件数が少ないのが目を引いた。開札対象となった物件は45物件と、今年2番目に少なかった。その中にあって再販商品になりやすそうな物件には、大量の入札がなされる。

 この日の1番人気は東急池上線「石川台」駅徒歩約3分に立地する、専有面積約16.5坪の2LDKのマンションで、売却基準価額1,202万円のところへ入札69本が集まった。競落価格は2,941万円強であったので、売却基準価額の2.4倍を上回る競落水準であった。

 ちなみに、このマンション、昨年8月に1階下の同じ間取りの部屋の売買成約があった。そして、その成約価格は2,970万円であった。

 今回、対象物件を競落したのは再販会社であったが、競落価格に滞納管理費等、登録免許税、不動産取得税を加えると、優に先の成約価格を上回ってしまう。さらに、内装費用や設備補修費用、そして販売経費や再販利益を考えるなら、再販価格は3,500万円近くまで伸びてくるだろう。昨年比で2割近くの値上がりを見込んで入札をしていることになる。

 さて、対象物件減少がこのような競落競争激化の一因になっているが、今後の開札対象物件数はどうなっていくだろうか。

 そこで、今年7月の配当要求終期の公告物件数をチェックすると、それは155件で、そこから推すと年間1,500物件以下(2013年は1,693物件)となり、対象物件減少の傾向は現在も続いている。競落競争はしばらく過熱し続けそうだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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