リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2011年8月16日

第102回高額の一戸建てが人気に

 震災後、競売市場においては低グロスのファミリーマンションに入札が集中することが多かったが、7月21日開札での一番人気は高額の一戸建てであった。

 その物件は東急東横線「学芸大学」駅から徒歩約8分に立地する。土地は北東と北西で幅員約5.5mの公道に面する角地で、約83坪ある。建物は築21年の木・鉄筋コンクリート造2階建て(地下あり)、延床面積は約105坪である。

 この物件の売却基準価額は1億3,494万円であったが、これに対し入札34本が入り、最高価2億1,021万円にて落札されていった。得がたい立地だけに、高額であっても大量入札があったものと考えられる。

 もう一つ高額戸建ての落札で目を引いたのは、JR山手線「五反田」駅徒歩約5分(池田山地域)に立地する土地約120坪(公道面角地)、建物は築20年の鉄筋コンクリート造3階建て、延床面積約155坪の物件だった。売却基準価額2億7,749万円のところ入札10本が入り、最高価3億3,205万円にて落札されていった。

 ちなみにこの物件、本年4月に開札予定であったが、直前で「変更」ということで入札スケジュールが延期になっている。この「変更」の理由が、前所有者の縁者が部屋内で自殺した事実が分かったことによる。この事実により、売却基準価額を10%下げての今回の再売却になったが、結局、従前の売却基準価額を上回る価格で落札された。

 もっとも、この事実が公表されなければ、さらに高い落札価格であったかもしれない。自殺物件であっても、前所有者もしくは、その縁者であれば再販への影響は比較的少ないものと業者は考えるようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.