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東京競売ウォッチ

2015年1月20日

第261回 2014年の市場分析(上)

 本欄では例年のとおり今週から3週にわたり、昨年(2014年)の競売市場の分析を行う。2014年の競売市場は「縮小かつ激戦の市場」であった2013年がさらに進んだ年であった。

 一昨年(2013)の全国の競売新規申立件数は、司法統計によれば、33,718件であった。これは前年比で13%強の減少であり、2009年の約半分にまで少なくなった。当然これにより昨年の開札対象が減少したのである。中小企業金融円滑化法が競売を少なくしたと言われるが、法が失効しても、さらに減少が続いている。

 掲載の表は、首都圏(一都三県)の2013年と2014年の競落物件数の対比を示している。これを見ると、首都圏では1年で21%強物件が減少していて、一昨年から昨年の減少率をさらに約7ポイント上乗せし、減少スピードが増した。とくに東京地裁において減少が激しく、1年で約4分3に市場が縮小したことになる。

 その中で東京地裁において2014年最も入札本数を集めたのが「門前仲町」駅徒歩約4分の朽廃した古家付きの土地であった。この土地、19坪の角地であったが、過去最高と思われる109本の入札を集めた。売却基準価額1,051万円に対し、その4倍を超える4,368万円という、落札価格も破格の上乗せであった。落札者は不動産業者と見られるが、かなり強気の値付けである。市場において仕入れ対象が少ない現況を表していると言えよう。

 次週以降、この活況の東京地裁の競売市場をさらに詳しく見ていく。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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