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東京競売ウォッチ

2012年3月21日

第128回 株価上昇で投資マインド高まる

 金融緩和政策の影響もあって、株価が持ち直している。また、米国経済の回復基調もその背景にあるだろう。

 さて、株価の上昇は、投資家の投資マインドを高めるが、それは不動産投資にも波及する。最近、新築ワンルームマンションの売れ行きが堅調との話も聞くが、株価回復の影響もあるだろう。また競売においても、それに呼応した動きが出てきたように思える。

 3月1日開札のマンションの競落状況によると、32本の入札を集めた1番人気物件をはじめ、大量入札物件の多くが収益用ワンルーム、1Kタイプであった。

 32本の大量入札物件は東武東上線「上板橋」駅徒歩約5分に立地する築6年で、専有面積約7坪の物件であった。現在この物件は共益費込みで月額7.5万円、年90万円にて賃貸中である。

 そういう条件のもと、売却基準価額は437万円であったが、これに対し競落価格は989万円であった。滞納管理費コストを斟酌すると1,050万円程度の取得費となる。

 この物件の実質年収は、管理費や、固定資産税等を考慮すると約72万円になるので、競落者は実質年7%利回りでの取得ということになる。さらに、競落者は再販業者と見られるところから、今後市場には2割程度は上乗せされ、実質年6%弱の水準で販売されそうである。

 築年も浅く、狭小専有面積でない、この物件には、再販時に購入者向けのローンが付くと思われる。この点も大量入札を生んだ要因であろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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