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東京競売ウォッチ

2014年6月24日

第235回 高額住宅地にも大量入札

 競売市場で入札本数が多いのは3,000万円以下のファミリーマンションが中心であったが、高額住宅地にも大量入札が見られるようになってきた。

 5月29日開札でJR山手線「大塚」駅徒歩約7分に立地する土地付建物に42本の入札があった。この物件の売却基準価額は6,148万円であったが、大量入札があり、1億770万円にて業者が落札していった。

 この物件、土地は北西と北東側で幅員約5mの公道に面する角地で、約49坪の広さがある。建物は築28年弱の木造2階建て、総床面積が約43坪である。

 実際、この物件を商品化するには、建物を取り壊し、更地化することになるであろう。競落価格は1坪あたり約220万円で、路線価の1.6倍強の水準であるから、結構高い水準での競落に思える。

 問題は、建物の解体。撤去に要する時間とコストをいかに短く、かつ軽くするかであろう。本件建物は、現況調査報告書によれば、空家同然で所有者が占有しているとのことである(電気、水道等も停止状態)。ただし、室内写真など見ると、動産が相当量あるのが見て取れる。

 こういった場合、代金を納付する前に近隣の聞き込みや、住民登録状況を確認し、所有者に「競落事実と動産の引き取り要請」を通知したい。そして、鍵の受領か、もしくは室内動産の所有権放棄と処分依頼を取り付けたいところである。

 しかし、実際には所有者への連絡等がつかないことも多い。この場合、引渡命令を申し立て、法的な処理を行うか、法的手続き外で行うか、買受人は状況を見て判断することになるだろう。

 買受人は対象物件に人が居住等していない場合、むしろ手間を掛けなければいけないこともあるので注意したい。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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