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東京競売ウォッチ

2025年03月04日

第734回 西葛西土地、坪約340万円で競落

 物件検索サイト、ホームズが先ごろ発表した住みたい街ランキングで№1に輝いたのは東京メトロ東西線「葛西」駅であった。都心に近く生活利便性が高い葛西、西葛西は従来から多くのマンション供給もなされ、街として成熟してきたのだろう。

 2月5日開札では東京メトロ東西線「西葛西」駅徒歩約6分に立地する約67坪が競売対象になった。南側では幅員12mの公道に面した整形地で、コインパーキングとして使用されている。この土地は第一種住居地域に属し、指定容積率が300%であるが、接道条件が良く300%きっちり消化できる。よって集合住宅用地として好条件と言えるだろう。またコインパーキングについては解約し更地回復するのは比較的容易であり、この点も入札者には好都合である。この土地の売却基準価額は1億2645万円であったが、これに対し16本の入札があり、最高価2億4538万円にて競落されていった。この競落価格は1坪約340万円に相当し、これは相続税路線価(1坪約188万円)の約1.8倍である。高水準競落とも思えるが、一方でなかなか得難い土地とも言え、有利な競落であったようにも感じた。

 ところでこの土地競売申立て権者が日本郵政株式会社で、同社が裁判を経由して競売を申し立てたヌ事件であった。滅多に見ない申立権者に驚かされた。おそらくはグループのゆうちょ銀行の債権絡みではないかと想像される。ゆうちょ銀行は、この土地の所有会社に対し何等かの貸金等があり、その回収のため本競売を申し立てたのではなかろうか。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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