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東京競売ウォッチ

2017年12月12日

第396回 マンション大量入札に変化

 不動産市場において最近中古マンションの在庫が増加しているとの報道がなされ始めている。新築マンションの分譲価格上昇に連れて、中古マンション価格も上昇し、活発な取引をされてきたが、ここへきて成約が遅れ、在庫が増加しているようだ。この変化は競売市場にも表れてきている感じがする。

 11月21日開札で一番人気となった物件は東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅徒歩1分に立地するマンションであった。築10年強で対象の部屋は7階建ての5階に位置する専有面積6坪強の1Kである。この物件には明渡6か月猶予の賃借人が月額8.9万円(管理費込)で占有している。この条件で売却基準価額は1095万円であったが、これに対し入札が26本で、競落価格は1911万円であった。月額の管理費等が13580円、固定資産税等が年約4.1万円であるので、実質年収は約86.4万円になる。競落価格で見ると利回り年4.5%水準である。

 さてこの物件の競落者は再販業者を抑えて個人であった。立地から推して再販業者が強気で入札してもおかしくない感じであり、またこの日の最高入札本数であったものの26本とここ最近としては少ない感じがする。この開札日において対象となったマンション物件数は18物件であったが、これに対し189本の入札で、競落1物件当たり10.5本である。この数字も最近において小さいように思う。マンション市場の変化が入札本数の減少を起こしているかもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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