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東京競売ウォッチ

2016年5月24日

第323回 東長崎のマンション11戸

 競売市場には一般の流通市場では見かけない権利関係の物件がある。4月21日開札では、1棟マンションではあるものの、その敷地の一部について共有持分しか対象になっていない物件があった。

 その物件は西武池袋線「東長崎」駅徒歩約8分に立地する。建物が築24年経過している鉄骨造3階建ての共同住宅で、3DK1戸、2DK10戸の計11戸からなっている。

 この建物の敷地は(私道提供部分を除くと)2筆であるが、そのうちの1筆、約41坪については、その共有持分10分の6は、競売対象外であった。

 こういった物件の場合、競落後、その対象外共有持分を追加して買い取り、完全所有権物件としたいところである。もし買い取れなければ、その共有持分について賃借する形となり、その賃料を支払うことになる。こんな権利関係の売り物件は競売市場でしか見受けられない。

 ちなみに、この物件の年収は約1,080万円と推量されるが、売却基準価額は4,775万円であった。競売対象外の敷地持ち分のことを考慮しなければ表面で年20%超の利回りである。

 さて、結果は入札が12本集まり、最高価1億666万円強にて落札されていった。これは対象外の敷地共有持分を評価書で計算されている約3,300万円にて購入できたとして、表面利回り8%弱となる水準である。不確定要素がある中で、この競落水準は強気の設定に思える。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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