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東京競売ウォッチ

2019年9月24日

第479回 小岩駅徒歩7分マンションに41本入札!!

 東京圏での新築分譲マンション供給戸数が減少している。マンション適地が少なくなってきてしまったことや建築費が高止まりしていることが原因である。

 また収益性の観点からホテルなど、用地がインバウンドに適した用途になってしまうことも多いようだ。さらに分譲マンションの価格が上昇してしまい、購入者の所得が追い付かない現状もあるようだ。

 そんな中、築浅で利便性の高い中古マンションで4000万円程度のファミリー向け物件には人気が集まっているようだ。

 そんな情勢を反映してか、9月5日開札ではJR総武線「小岩」駅徒歩約7分の専有面積約21坪で3LDKの部屋に入札41本が集まった。このマンションは築20年であるが、対象住戸は13階建ての13階に位置しており希少性がある。

 売却基準価額は2017万円であったが、最高価は3208万円弱であった。なお滞納管理費等は約55万円であり、また占有は既に所有者退去で空き室状況である。占有問題もあまり無くまた滞納管理費等も高額ではないので、内装費用を考えなければ取得総費用は3300万円程度になるだろう。

 さて落札者は不動産会社と見えられるので再販価格は4000万円近い金額で設定しなければマージンがとれないだろう。しかしながらレインズでの成約価格を見ると市場価格は専有面積1坪あたり170万円くらいで、総額3600万円程度とも思える。

 それを考えると強気の入札に思えるが、先述のように中古マンションの人気上昇から入札者は十分勝算ありと考えての入札価格設定なのであろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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