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東京競売ウォッチ

2019年4月16日

第458回 平成初期のワンルーム表面10%で落札!!

 平成の世もあと少しで終わりを告げ、令和の時代になる。不動産の世界では平成築が新しさを持たなくなることになる。

 バブル経済時代は多くの投資用ワンルームマンションが販売され、競売にも多く付された。ここ最近では競売のワンルームマンションは築年が10年以内の新しいものの方が多くなっている。3月12日開札では東武東上線「上板橋」駅徒歩約10分に立地する専有面積約5坪のワンルームマンションが対象になった。

 このマンションは平成3年1月築とバブル時代の投資用マンションである。賃料月額5万円にて賃貸されており、競落者が承継すべき賃借権になっている。年収は60万円だが管理費等(月額14200円)及び固定資産税・都市計画税(年額24600円強)を差し引いくと実収は約40.5万円である。この内容で売却基準価額は470万円であったが、これに対し入札は8本あり、最高価641万円強で競落された。

 この競落水準は実質年利回り6.3%強になる。この競落結果から推してバブル期のワンルームの利回り水準は実質で年6~7%程度、表面利回りで年約10%程度ではないかと思われる。一方で同じ練馬区のワンルームマンションで築4.5年の新しい物件もこの日対象になっているが、こちらは専有面積が約8坪あり、風呂・トイレは別のマンションである。

 同じ沿線の「東武練馬」駅徒歩11分の立地だが、売却基準価額1192万円に対し競落価格1761万円強である。表面利回り年約5.5%と先の物件の6掛け以下の利回りとなっている。築年と競落水準の関係が分かる競落事例2つであった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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