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東京競売ウォッチ

2015年3月10日

第268回 森下の土地付建物に入札54本

 今年に入って2回の開札で過熱と言っていいような入札状況は続いているが、高い上乗せでの落札もよく目につく。2月5日の開札では売却基準価額の4倍超の競落物件があった。

 その物件は都営新宿線「森下」駅至近に所在する土地付建物である。駅の出口に近接し、大通り(新大橋通り)に面するその物件は、土地が10坪強と狭小であり、間口も約4mと狭い。建物は築34年の鉄骨造3階建て、延べ約31坪である。1階が店舗で2~4階が住居になっている。

 この物件の売却基準価額は1,208万円であったが、これに対し入札は54本入り、最高価5,288万円にて落札された。おそらく駅出口至近の立地の希少性がこの結果を生じさせたのだろう。

 ちなみに、この物件の正面路線価は坪150万円強である。しかし、落札価格はほとんどが土地代であろうから、坪520万円以上に相当する。つまり路線価の3.5倍弱の落札水準である。

 昨年、最高の上乗せ率で落札した物件も江東区の物件であった。その物件は東京メトロ東西線「門前仲町」駅徒歩約4分に立地する。広さは約19坪の公道面角地で、売却基準価額が1,051万円であったが、これに対し入札が109本で、競落価格は売却基準価額の4倍を超える4,368万円であった。

 また、2月5日開札で2番目に入札を集めたのも戸建てで、こちらは荒川区で東京メトロ日比谷線「南千住」駅徒歩約3分に立地している。土地が約16.5坪、建物は築9年木造の延床面積約24坪で、売却基準価額1,641万円であったが、これに対し、その2倍を超える3,315万円にて業者に落札されていった。

 不動産売買業者の用地不足がかなり進んでいるようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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