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東京競売ウォッチ

2014年2月25日

第219回 上乗せ率の高いマンション

 前週本欄で1月30日開札において、48本の大量入札を集めた有楽町線「要町」徒歩約8分の1Kのマンションを紹介した。この日はこの物件の他にも40本超えの大量入札マンションがあるなど、活況ぶりは益々だが、さらに注目は、その高い上乗せ率である。

 先の要町のマンションは売却基準価額503万円に対し、競落価格は1,543万円で、売却基準価額の3倍超で、上乗せ率約207%であった。

 この日、競落されたマンションは42戸であったが、そのうち12戸が売却基準価額の2倍を超える競落価格であった。

 入札者もかなり思い切った入札価格設定が必要になってきているが、その背景には、マンション価格の先高感があるだろう。

 本紙の記事でも紹介されていたが、マンションの賃料相場などの情報を扱う、アトラクターズ・ラボが先月実施したマンション購入に関する意識調査でも、8割近い消費者がマンション価格の先高感を感じているようだ。

 建築費が高騰しているとの話も一般に知られるようになっており、これも先高感の要因になっているだろう。

 これに対し、一戸建ての上乗せ率は低めに感じる。商業ビルで、債権者がらみなどと思われる高値競落があることから、平均としては上乗せ率が高くなる。しかし、居宅一戸建ては売却基準価額の2倍を超える競落価格になるケースは少ない。

 1月30日開札で東急目黒線「奥沢」駅徒歩約10分の1戸建てが土地付建物では最高の32本の入札を集めた。この物件は敷地約15坪、建物は築5年強の木造2階建てで延面積約30坪である。競落価格は売却基準価額2,608万円に対し、上乗せ率約90%と売却基準価額の2倍に届かない4,951万円であった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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