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東京競売ウォッチ

2013年11月19日

第206回 対象建物の耐震基準

 10月29日開札では、ワンルーム等の投資用区分マンションが全体の約20%を占めた。そして、この日の一番人気も1Kの投資向け区分マンションであった。

 その部屋はJR山手線「駒込」駅徒歩約2分に立地し、築31年を経過する、専有面積約7坪である。この部屋の占有者は転借人であり、月額6.4万円の賃料等を負担している。管理費、固定資産税等を差し引いた実質年収は年間58万円強である。

 一方で売却基準価額は406万円で、滞納管理費等は約12万円存する。これに対し、入札は45本入り、最高価901万円強で個人が落札していった。実質年利回り6%強の水準である。

 ところで、入札価格の設定にあたっては、その対象建物の耐震基準が新基準か旧基準であるかは、大きなポイントである。しかし先の駒込の物件は、評価書によると、新基準か否かは確証がないとの記載であった。

 ちなみに、昭和56年6月1日以前に建築確認申請を受付たものが旧耐震基準ということであるが、建築確認年月日からは受付の日は確実には把握できない。先の駒込の物件は建築確認年月日が昭和56年8月3日であることから、新耐震基準である可能性は高いが、この事実のみでは新旧基準と確定はできないのである。逆に旧耐震基準が明らかであれば、競落価格は低下した可能性もあろう。微妙な建築時期の物件には注意を要する。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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