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東京競売ウォッチ

2018年2月27日

第404回 故人債務整理に競売は有用か?

 マンションの競落価格の上乗せ率が昨年来やや低下傾向になっているが、2月8日開札で一番人気となったマンションは久々高上乗せ率での競落であり目を引いた。その物件は東急田園都市線「三軒茶屋」駅徒歩約9分に立地するタワーマンションであった。築約6年と新しく、30階建ての22階部分に存する3LDKである。専有面積約22坪で売却基準価額は5390万円であった。これに対し入札は41本集まり、最高価8888万円にて落札されていった競落価格の売却基準価額に対する上乗せ率は約65%であった。この上乗せ率は昨年のマンションの平均上乗せ率を2割程上回る水準である。高い上乗せ率で且つ競落価格の専有面積1坪あたり400万円超というのは、やはり人気エリアのタワーマンションであるからだろう。

 ところでこのマンションの占有者は亡くなった所有者の配偶者である。おそらくは任意売却にて債務整理をしようとしていたが、債務者が亡くなってしまい相続人が相続放棄をしてしまったため、それが行えなかったのだろう。こういった場合競売であれば、相続登記を経ずに売却し債権者の債権整理ができる。相続登記が未了の不動産が多いことが昨今問題視されているが、競売や公売はある意味その問題の解消策の一つと言えるかもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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