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東京競売ウォッチ

2021年9月28日

第570回 住戸条件が劣るも立地で一番人気か?

 既存のマンションでは建築当時の法規に適合していても、その後施行された条例などに抵触しているものがある。9月8日開札で東京メトロ丸ノ内線「方南町」駅徒歩約5分に立地するマンションがそれにあたる。このマンションが所在する杉並区では「住環境に関する指導要綱」が平成20年に施行されている。対象のマンションは昭和59年に建設され、現時点ではこの要綱に、駐車場付置基準などに抵触し、条例上の既存不適格建築物である。

 また対象住戸は専有面積約15.6坪の3DKであるが、DK天井中央には梁があり、一部居室の天井は斜めで天井高が低い。さらに部屋内の設備はかなり劣化していてフルリフォームが必要であろう。また残置物も大量にある。こんな内容で売却基準価額は1843万円であったが、これにこの日の最高入札本数33本が入った。競落したのは再販業者で3235万円が競落価格であった。

 この近隣での同程度の中古マンションの成約価格は専有面積坪単価で250万円くらいなので、再販価格4000万円は考えられよう。それを考えるとフルリフォームを行っても採算は取れそうだ。しかし先述の対象物件の条件を考えると楽観はできない。こういった物件でも立地次第で強気に仕入れなければいけないのは、売りマンションの少なさが背景にあるのだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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