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東京競売ウォッチ

2016年1月19日

第306回 2015年の競売市場の総括

 本欄では今週から3週間にわたり2015年の競売市場の総括と2016年の展望をしていきたい。

 2015年の競売市場は「さらに収縮した市場」となった。2014年の全国の競売新規申立件数は、司法統計によれば表1のとおり28,084件であった。これは前年比で17%減であり、またピークであった1998年(78,500件強)の3分の1強である。まさに激減と言えよう。

 続いて表2は、首都圏(一都三県)の2014年と2015年の競落物件数の対比を示している。1都3県全て前年比で減らしている。とりわけ東京(本支部合計)の減り方が大きいのは、やはり都心中心の不動産需要増大がその背景にあろう。

 一方、売れ行きについては表3のとおり98%台で、相変わらず高水準にとどまっている。そんな中、2015年における最高本数73本を集めたのが前週紹介した「コート代官山」であった。そして、これに次ぐ入札65本を集めたのが、6月4日開札での八丁堀の小規模ビル(築23年鉄骨造)である。不動産活況の主役が都心の中古マンションと収益型不動産であることを象徴した2つの競落結果だった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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