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東京競売ウォッチ

2018年1月23日

第399回 2017年の総括(1)

 今週からは2017年の総括を行いたい。まずは全国の競売新規申立件数であるが、一昨年は前年比で約7.7%減少した。これで2010年から7年間連続での減少になる。2010年では51278件であったので半分弱の水準である。(図表1参照)

 また昨年年初東京地裁本庁の競売物件数を900件程度と予想したが、その予想に反し対象物件の減少がさらに進み12.17%減の736件にまでとなった。(図表2参照)競落率は依然高止まりしていて、ほぼ完売状態が依然続いている。

 競売対象物件数が結局昨年も底入れしなかったのは、金融緩和政策の継続で企業の資金繰りが良化し、差押・競売に銀行が動く数が増えないことによる。ただ全国的に見ると競売物件の減少幅が小さくなってきており、そろそろ転換期に差し掛かっているようにも思える。

 ところで東京地裁本庁での昨年の一番人気は世田谷区池尻に所在する収益型一棟マンションであった。売却基準価額6212万円のところ入札は63本に上り、落札価格は1億7100万円であった。この競落水準は表面利回り年約6%程度と見られる。一昨年に続いて昨年も収益物件の人気が高かった。ちなみにこの物件の落札者は個人であった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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