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東京競売ウォッチ

2014年7月1日

第236回 豊洲のマンションに入札46本

 2020年の東京オリンピック開催決定に伴って湾岸エリアに注目が集まっている。6月12日開札で、有楽町線「豊洲」駅徒歩約13分に立地するマンションに46本の入札が集まり目を引いた。

 その物件は築13年で専有面積は約20坪の3LDKである。マンションは11階建ての総戸数84戸で、対象住戸は10階の北西角部屋である。大きなルーフバルコニー付きという特徴を持つ。この物件の売却基準価額は1,662万円であったが、落札価格は約1.9倍の3,130万円である。この物件には滞納管理費等と、その遅延損害金合計で約150万円の買受人の承継負担金があるので、実質は売却基準価額の2倍程度の競落コスト(専有面積坪単価約160万円)になる。

 買受人は再販業者と推定されるが、競落コストのほかに商品化コストとして、改装費や登録免許税、不動産取得税を負担することになる。そして、それに自らの利益を考慮すれば、再販の時の専有面積坪単価は190万円程度になるだろう。

 本マンションはいわゆるタワーマンションではなく、駅からの距離もあることから、この再販価格は、おそらく分譲時よりも高いのではないだろうか。

 今から3年強前の東日本大震災直後では、このマンションの立地する地域は液状化などで、地盤に対する懸念が話題となった。さらに周辺は倉庫等が多く利便性は現状決して高くない。オリンピック効果が見て取れる競落結果と言えそうだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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