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東京競売ウォッチ

2011年2月7日

第77回更地2物件に応札なし

 今年に入って2回目の開札である1月27日も相変わらずマンションの人気が高い。この日、40本もの入札を集め、1番人気であったのもマンションで、JR京浜東北線「蒲田」駅徒歩4分に立地する築5年強の3LDKの部屋であった。

 そんな中、このところほとんどない特別売却物件が、この日6物件残ったのに目を引かれた。

 そのうち2物件は更地で、1物件はJR常磐線「亀有」駅徒歩11分に立地する約30坪の土地である。買受可能価額は1,547.2万円と、1坪当たり約52万円であったが、応札がなかった。この土地の路線価は1坪当たり90万円を超えるが、その点から考えれば、かなり割安に思える。この土地は環状7号線沿いであり、用途地域が準工業地域であることから、評価はそれなりに高く出るのである。しかし、住宅用地としては、環境にむしろ難があり、逆に工業用地としては中途半端である。また、環状7号線といっても側道面であるので、商業用途にも不向きである。そういったことから、敬遠されたのであろう。

 また、もう1つの特売に回った更地は、江戸川区南葛西に所在する36坪強である。住宅地として人気のある立地であるが、地形に難がある。旗竿地で、路地状部分の幅が1.6m㍍しかないため、その土地上に建物が建たないのである。

 買受可能価額は468.8万円と、1坪14万円強に過ぎないが応札がなかった。不動産は利用されてこそ価値がある、ということの表れであろう。

 ただ、こういった物件がうまく料理できれば、競売市場でのビジネスチャンスが広がるとも言えよう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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