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東京競売ウォッチ

2021年9月7日

第567回 1R、1階住戸は低上乗せ率で競落!!

 中古マンションの高水準での競落が続いている。ここへ来てその傾向に少し変化が出てきた部分がある。それは1Rマンションへの入札がやや低調になっていることである。都心の築浅1Rマンションは依然大量入札の例もあるが、築20年以内の城西、城南地域の物件では入札5本以内の物件も散見されるようになっている。

 8月25日開札で東急大井町線「上野毛」駅徒歩約11分に立地する、築18年の専有面積約7坪の1Rマンションが対象になった。この物件の売却基準価額は1116万円であったが、入札本数は3本に止まり最高価1309万円にて競落された。売却基準価額に対して20%未満の上乗せ率で、この立地のマンションとしては低い水準と感じた。競落の専有面積坪単価は滞納管理費等を考慮しても約190万円である。

 「上野毛」駅徒歩圏で築20年くらいのファミリーマンションでは成約坪単価は300万円を優に超えると見られ、かなり安く感じる。また、この1Rには賃借料月額7万円超のサブリース賃借権があり、支払い管理費等、固定資産税等を差し引いた実質年収は60万円強である。従って競落価格は年4.5%くらいの水準になり、悪くない水準に見える。

 しかし、低調な入札であった。その要因の一つに対象住戸の所在階が1階であったことにありそうだ。1階所在の1Rマンションは個人投資家の購入資金ローンが付きにくいと聞く。そんなことが影響しているのではないだろうか。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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