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東京競売ウォッチ

2017年11月7日

第391回 売却基準価額未満で湾岸タワーマンション落札

 先週本欄では、豊洲のタワーマンションのペントハウスが売却基準価額の7割超の上乗せで競落されたことを紹介したが、10月26日開札では売却基準価額を下回る湾岸タワーマンションの競落事例があった。そのマンションは都営大江戸線「汐留」駅徒歩約4分に位置する「東京ツインパークス」である。

 このマンションは15年ほど前三井不動産他が分譲した物件で浜離宮を臨める高級マンションである。競売対象となった部屋は22階と23階のメゾネットタイプの部屋で、専有面積約50坪の2LDK。売却基準価額は1億9339万円であったが、これに対し入札は5本に止まり、競落価格は18561万円であった。これは売却基準価額を約4%下回る水準で、競落マンションの上乗せ率がここ最近で平均6割前後であることから考えるとかなり低い感じがする。

 この原因の一つに売却基準価額の設定にあたり積算評価額で算出された金額に対し3割上乗せの価格補正がなされており、高い水準になっていたことがある。湾岸エリアのタワーマンションブームを評価人が斟酌したのである。そしてもう一つは、このマンションで販売中の部屋が多数存在していて、在庫が過多という現状があろう。タワーマンション高騰の波は沈静化しているようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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