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東京競売ウォッチ

2011年5月17日

第90回一次取得者向けマンション

 東日本大震災は新築マンション市場に大きな影響を与えている。震災による復興需要や東北の工場へのダメージによって、建築資材の調達難が生じており、これにより建築工期や建設コストが読めない。これが、デベロッパーが新規プロジェクトに慎重になる背景である。

 一方でマンションの需要は、とくに億ションなどのハイグレード物件ではなく、一次取得者向けの物件については、震災後も堅調のようだ。これは実需マンションが必需品に近いからであろう。

 4月26日開札では、まさに、その一次取得者向けマンションが1番人気となった。その物件は、東武伊勢崎線「竹ノ塚」駅徒歩約9分に立地する築16年の鉄筋コンクリート造8階建ての4階部分、専有面積約21.6坪の3LDKの部屋であった。

 この物件の売却基準価額は1,249万円であったが、これに対し37本の入札があり、最高価2,155万円強で再販業者が落札していった。

 ちなみにレインズにおいて、この物件と同じ「竹ノ塚」駅から徒歩10分以内で、平成以降の築年のマンションのうち、価格3,000万円以内のものは1件だけであった。新築マンションは、足立区に販売中のものがあるが、同等の広さであれば、少なくとも総額は3,000万円台の後半になる。

 一次取得者向けマンションは中古物件が今後は、より需要の受け皿の中心になっていくであろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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