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東京競売ウォッチ

2017年10月31日

第390回 豊洲のタワーマンション上乗せ率7割超で落札

 湾岸エリアのタワーマンションのいわゆるペントハウスと言えば、タワーマンションブームの象徴的存在である。分譲時に投機目的で購入されたものも数多くあるようであり、分譲後8年以上経過した現在、再販されている部屋もレインズ上に相当数登載されている。

 ここで実際にタワーマンションの最近の成約事例を見ると、かなり大きな幅があることが分かる。同じ築年であっても住戸位置等条件によって専有面積坪単価で4割以上の差異が出てしまっている。特に最上階のペントハウスなど高層階住戸は希少価値から相当に割高になっている。

 平成29年10月12日開札では東京メトロ有楽町線「豊洲」駅徒歩約8分に立地する築8年の専有面積約34坪のペントハウス(43・44階のメゾネットタイプ)が開札対象となった。間取りは2LDKであるが、大きなウォ―クインクロゼットなどを備えており、広いバスタブからは夜景が望め、広い吹き抜けのリビングルームも豪華である。

 そんな部屋の売却基準価額は7780万円であったが、これに対し、入札は17本入り、最高価13371万円にて再販業者と思われる会社が落札していった。この落札水準は390万円強であり、再販価格として競落者は少なくとも専有面積坪単価450万円、総額で15000万円は期待したいところだろう。こういったある意味奢侈品とも言える部屋は買い手が限られ、景気による換金水準変化が激しいと考えられる。見込み客を持っていないとすれば、入札価格設定は、かなり難しかったであろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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