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東京競売ウォッチ

2021年11月16日

第577回 私道持分が対象外の土地に多くの入札!!

 競売の土地や戸建には接面する私道の持分が競売対象に含まれていないケースがある。通常売買であれば私道の持分が売買対象に含まれなければ商品にならない。しかもそれが更地であればなおのことである。

 10月20日開札では西武新宿線「武蔵関」徒歩約15分にある約25坪の更地が対象になった。この土地は位置指定道路(42条1項5号)に面し、この私道を通じ公道に面している。この私道は細かく分筆されており、私道面の宅地所有者が分有する形になっている。しかし、その分有の土地が対象に含まれていない。

 こうなると、通行権や建物建設の場合の私道の掘削などの権限に影響が出る。競落者は競落後私道持分を別途交渉の上取得することを要する。そんな土地であるが、評価書では私道持分が無いことでの減額は行われていない。そんな内容で売却基準価額は1933万円であったが、これに対し入札15本が入り、最高価3457万円にて競落されていった。

 1坪単価約144万円の水準は市場価格とさほど変わらないように思う。ところでこの対象土地の上には現在存在しない滅失した家屋の登記が残っている。これについては本来家屋所有者からの滅失登記申請が必要であるが、当該所有者の連絡が取れないなどの場合、敷地所有者からの申出により滅失登記は行えるのであまり心配はいらないだろう。このように競売では様々な権利的障害があるので、不動産会社が競落して商品化するのが一般的なのである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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