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東京競売ウォッチ

2012年4月4日

第130回 地上権が設定された土地

 競売不動産の中には、その利用に関する制限があるものが含まれる。3月13日開札においては、地下鉄の敷設のための地上権が設定されている物件が開札になった。

 その物件は地下鉄丸ノ内線「中野新橋」駅徒歩約3分に立地する土地で、南東側で幅員約5・5㍍の公道に面する約13・7坪である。

 この物件の売却基準価額は362万円であったが、これに対し、大量の42本もの入札が集まり、最高価1677万円強にて落札されていった。

 さて、この土地には、その過半に先述の地上権が設定されている。地上権と言っても、実際は地下の地下鉄(丸ノ内線)軌道のための利用権である。

 使用料は無料である。またこういった地下鉄敷設のための地上権の場合、その設定された土地に対する建築制限等が存する。それは建築用の杭の長さ制限などであり、これにより高い建物が建たないことが多いのである。また、地下鉄車両通過に伴う振動が生ずる場合もある。

 そんなことがあることから、評価書においてもこの地上権設定に対して、50%の減価が施されている。

 今般この土地に大量入札があったのは、この土地上に2台の自動車が駐車できることから、賃貸駐車場用地として、十分採算の合うほどに安い売却基準価額であったことが、その要因であると思う。

 制限付きの物件であれ、収益が見えれば、それに見合った応札はあるのである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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