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東京競売ウォッチ

2011年12月6日

第117回 権利的な瑕疵ある物件

 競売不動産の中には、権利的な瑕疵のあるものが、散見される。こういった物件は、任意売却での処理もされにくく、結果として競売に流れてくることもある。

 11月17日開札では、東急池上線「洗足駅」徒歩約6分に立地するマンション3室が入札なく、特別売却に回った。

 このマンション、総戸数がわずか8戸しかない物件で、そのうち3戸が今回競売になった。築40年近く、管理状態も管理組合がないこともあって、不良である。加えて問題なのは、建物が容積率オーバーの状態であることである。

 専有面積は9~11坪、買受可能価額は520万弱~540万円強であった。立地にしては、かなり安いが、築古で、管理状態が悪く、既存不適格というハンデキャップから、応札がなかった。

 一方、この日、東武亀戸線「東あずま」駅徒歩約7分に築11年の木造、延20坪弱の倉庫が、再建築不可という瑕疵があるものの落札されている。

 この物件の土地(約20坪)は建築基準法の道路に接しない、いわゆる無道路地である。それゆえ、売却基準価額は319万円と、かなり低く設定されたが、結果として入札5本が入り、最高価540万円弱で法人が落札していった。

 こちらの方は、建物が倉庫として使用可能であり、賃貸して収益を上げることも期待できる。また、建物の改装や修繕も先のマンションと違い、買受人単独で実施できる。

 瑕疵物件も物件と価格により応札があるようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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