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東京競売ウォッチ

2022年5月10日

第600回 江戸川区収益1棟が高上乗せ落札!!

 先週の本欄で西荻窪の収益1棟物件が表面利回り年6%以下の水準で競落されたことを記載した。さて同じ収益一棟物件で同じ開札日で都営新宿線「篠崎」駅から徒歩約16分の立地の店舗兼共同住宅も売却基準価額の2倍超で落札されている。この物件は土地が南西側で幅員6mの公道に面した約33坪で、この上に築32年の鉄骨造4階建が建っている。1階は広さ1坪くらいの店舗でスナックが営業されている。2階から4階は1Kが9戸となっている。年収は約550万円 が見込まれるところで売却基準価額が3420万円であったが、これに対し入札14本入り最高価7000万円と、売却基準価額の2倍以上で競落されていった。年表面利回りで8%弱の競落水準であるのでまずまずとも考えられる。

 しかしこの物件はエレベーターが無く、また1階が夜間営業のスナックであるという賃貸物件としてはハンデがあるとも言える。店舗直上の部屋は騒音などで、また階段を上がっての4階は出入りの不便さで賃料を抑えなければならないだろう。さらに鉄骨造であることで、仮に再販する場合には、購入のためのローンは融資期間が数年になる可能性が大きく、売りにくいことが予想される。しかもこの物件の敷地の一部が隣地への通行に利用されている実態もある。それでも前記のような高水準落札であることから、やはり収益1棟の品不足の市場であるのは間違いないだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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