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東京競売ウォッチ

2024年07月16日

第705回 成増のシェアハウスには入札3本

 このところ破綻したシェアハウスの対象物件がほぼ毎回の開札日に登場する東京地裁であるが、6月26日開札でも2物件が対象になった。その一つは葛飾区の東金町で、もう一つが板橋区赤塚の物件である。いずれも木造2階建で築8~9年とかぼちゃの馬車普及の時代の物件である。そのうち板橋区の物件は東武東上線「成増」駅徒歩約11分に立地しており、土地は約32坪、建物は延床面積約39坪である。部屋数は12部屋で、1部屋3~4万円の賃料で占有している。この物件はシェアハウス運営会社のサブリースとなっていて、マスター賃料は月額20万円程度である。

 この物件の売却基準価額は4000万円であったが、これに対し入札は3本に止まり、最高価5137万円弱で競落されていった。この競落水準であると現在のサブリース条件では表面利回り年5%弱になってしまい、旨味に欠ける。入札本数が伸びないのも頷ける。ただエンド賃料は満室稼働すれば月額40万円程度が見込め、そうなると表面利回り年9%程度となる。もしシェアハウス管理、入居者募集を自前でできれば一転して旨味のある投資物件になる。

 シェアハウスの価値は、そのオペレーション力によって大きく異なるわけで、ホテルなどの評価に近い部分もあるだろう。今後は特定技能の在留資格にて来日する外国人が増加するとみられる。そのニーズなどを取り込める能力がある事業者にとっては、シェアハウス物件は競争者が少ないこともあり、競落しやすく良い投資先になりそうだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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