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東京競売ウォッチ

2013年10月1日

第199回 マンション管理組合の申し立て

 競売の事件には2種類ある。ケ事件とヌ事件である。多くを占めるのは主に抵当権や根抵当権に基づく、担保権実行のケ事件で、それ以外、裁判の判決などや、他の権利に基づき申し立てられるヌ事件は全体の1割以下である。そのヌ事件の中には管理組合が滞納管理費等における先取特権に基づき申し立てるマンション等の競売がある。

 9月10日開札での東急目黒線「西小山」駅徒歩約9分に立地する、築23年を経過する、専有面積約6.5坪のワンルームマンションが、管理組合の申し立てによるヌ事件の競売であった。売却基準価額は6万円だが、管理費等滞納額は560万円を超える。

 ちなみに、この物件は1番の順位で金融機関の根抵当権が設定されている。管理組合とすれば、自らが申し立てずとも、その金融機関が競売に付してくれれば、競落人から、滞納管理費等を回収でき、手間がかからない。

 しかし、おそらくはその金融機関の融資延滞がなかったのかもしれず、競売申立てがないことから、痺れを切らした管理組合が競売を申し立てたのだろう。

 ところで、このマンション今年4月11日に入札20本を集め、477万円にて一度競落されている。たぶん競落人は滞納管理費等の圧縮(時効の援用など含め)を管理組合と交渉したもの、それが叶わず、入札保証金が1.2万円と僅かであることから、これを流して買い受けをしなかったのだろう。

 この日は2度目の競売であったが、結果は入札13本を集め、278万円弱にて競落されていった。今度は代金納付されるのではなかろうか。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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