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東京競売ウォッチ

2010年6月14日

第45回マンションの入札過熱化

 中古マンション市場の活性化を最近よく耳にするが、競売市場でのマンションに対する入札過熱化は、ここへきてさらに加速しているようだ。

 6月3日開札では、売却基準価額に対する上乗せ率200%、つまり売却基準価額の3倍超の落札価格の物件が登場した。その物件は都営大江戸線「東中野」駅徒歩8分に立地し、専有面積約17坪の2LDKのマンションである。築15年を超えているものの、管理状態は良好である。

 この物件の売却基準価額は1,214万円であったが、これに対し入札64本が集まり、最高価3,688万円にて再販業者が落札していったのである。

 ちなみに、この物件と同棟内の複数の部屋が2年前に売却され成約しているが、それら成約の平均専有面積坪単価は220万円ほどあった。とすれば、本物件の当時の市場価格はちょうど今回の落札価格程度になる。競落した業者はこの物件の再販価格を2年前の相場に比して少なくとも10%超の上昇を見込んで入札していることになる。

 さらに、この日1番人気であったのは66本の入札を集めた目黒区のマンションであった。築年は東中野の物件と同様の平成7年で、競落したのも同じく再販業者であった。そして、このマンションの落札価格も再販価格が過去の相場より上昇を見込んで設定されている。

 果たして、これらの競落物件は思惑通りに販売されるのであろうか。興味が持たれる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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