リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2020年9月15日

第519回 マンションの遵法性チェックに疑問!!

 不動産の遵法性は年々チェックが厳しくなっている。住宅の場合には敷地の接道条件、そしてそこから建築基準法等建築規制に適合しているかが問われる。そんな昨今の情勢で9月2日開札の物件の中に評価書記載に疑問があるマンションが対象になっていた。

 そのマンションは京成本線「江戸川」駅徒歩約8分に立地する。築年は5年強と比較的新しく、対象となる部屋は8階建ての5階部分で2LDK、専有面積約17坪ある。この物件対象となる部屋自体には問題はないが、マンション全体の敷地(約64坪)の接道に気にかかることがある。敷地は北側で幅員25mの都道(蔵前通り)に10m以上面しているので建築上の接道義務の問題はない。ただ敷地の東側には幅員3.4mの区道がありマンションのエントランスはこの区道側に設置されている。

 そしてその区道とマンション敷地との間にマンション分譲会社名義の細い土地(約5㎡)がありマンションの出入りにはこの土地を使う。その細い土地の使用権はマンションに付与されているので利用に問題はないが、ひょっとすると建築時に区道側からの斜線規制を回避するために敷地と区道が直接面することが無いようにした感じもある。そうでないことも考えられるが、この点について評価書での検証が無い。結果として売却基準価額2203万円に対し入札8本で2680万円強と、比較的低い上乗せ率にて落札されたが入札者はこの件を考慮した価格だったかもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.