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東京競売ウォッチ

2015年3月31日

第271回 対象が減少し3月は33物件のみ

 対象物件の減少がかなり進んでいる。3月12日はわずか33物件となり、かつ3月に予定されていたもう1日の開札日である24日は中止になったので、1カ月合計でも33物件となった。

 そして、その少数物件にもすべて入札があり、1物件あたりの入札本数は20本近いところまで上昇している。そんな中で目が引かれた競落物件は、都営地下鉄浅草線「蔵前」駅徒歩約4分に立地する古い共同住宅兼店舗のビル。土地は幅員約23.5mの公道に面した約21坪で、建物は鉄骨造の地下1階付6階建て、延床面積約70坪である。

 築43年と古い建物であるが、管理状態が悪いため雨漏りやネズミの被害、さらには地震による損傷が放置されている箇所もある。所有者家族が建物の4階以上を占有し、3階以下の部分を賃借人が占有している。この賃借権は先順位の賃借権であり、買受人はこれを引き継ぐことになる。賃料は月額41万円、年492万円となっている。

 この条件で売却基準価額は3,066万円で、これに対し入札61本が入り、最高価6,100万円にて外国人名にて落札されていった。次順位買受人はなく、強気の入札である。

 なおこの物件、賃借人がダクトや流し工事費など800万円を負担していると陳述しているが、有益費として裁判所は認めていない。競落人との間でこの点は問題になるかもしれない。有益費の裁判所の認定については、なされない場合となされる場合がある。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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