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東京競売ウォッチ

2026年05月19日

第791回 共有持分スーパー億ションが個人落札

 競売市場には1部屋の共有持ち分が対象物件になっているものがある。こういった競売対象物件については、競売の三点セットの最初の方に共有持分の競売であることを明記したページを設けてある。そしてさらに物件明細書中、その他買受の参考となる事項には「本建物は共有持分についての売却であり、買受人は、当該物件を当然に使用収益できるとは限らない。」と明記される。

 一見マンション1部屋の競売と見えて極端に低い売却基準価額に飛びつき入札することが起きないように裁判所も注意している。4月22日開札では都営大江戸線「麻布十番」駅徒歩約6分に立地する「ハイネス麻布鳥居坂」の専有面積約27坪の部屋が競売対象になった。この部屋が共有持分2分の1の競売であった。売却基準価額は6805万円であるので1部屋分としてはその2倍相当の1億3610万円の水準である、専有面積坪単価で約504万円に相当する。

 さてこの競売対象に入札が29本集まり最高価1億8000万円にて個人が競落した。1部屋分換算では競落価格の2倍である3億6000万円になり、専有面積坪単価は約1333万円に相当する。超1等地立地ではあるが築46年近い旧耐震構造物件であり、流通価格は専有面積坪単価で800万円程度と思料される。

 競落者はもしかすると競売対象が1部屋分であると勘違いしたのではないかとも思われる。仮に勘違いであったとしても、裁判所の公開資料では共有持分物件であると明記してあることから、売却許可決定の取り消しなどは不可能である。このまま代金を納付するか、入札保証金(1361万円)を放棄するよりほかに対処はないだろう。勘違い入札ではなく、何らかの理由で高値入札したのであれば良いが、と思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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