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東京競売ウォッチ

2021年1月12日

第535回 今年もマンションは高水準落札か?

 2020年はコロナ禍にあり中古マンションの価格は強含みで推移した。しかし新築マンションの供給はコロナ禍の影響か首都圏で前年比2割強減少し24000戸台であったようである。今年は郊外の新規マンションの発売は3割強の増加になる予想であるが、これが中古マンション価格に変化をもたらすか注目である。

 そんな中昨年最後の12月23日開札で一番人気であったのはJR常磐線「金町」駅徒歩約8分に立地するマンションであった。専有面積約22坪の3LDK +納戸等の間取りで築11年弱と比較的新しい。売却基準価額は3016万円であったが、これに対し39本の入札があり、最高価4286万円弱で競落されていった。滞納管理費等はあまりないが、登記費用など諸経費を考えれば専有面積1坪あたり200万円近い競落水準になる。

 ちなみに昨年12月の同マンションの他の住戸の成約価格では専有面積坪単価180万円台のものもあり、競落水準は市場価格並み、または若干上回る。競落会社は相場の上昇を見込んでいるかもしれない。果たしてそうなるのか注目したい。さてコロナ禍で競売物件が増加すると見る向きが多くあったが、現実は相違し、東京地裁は減少したのである。来週から本欄では、そんなことを含め2020年の競売市場の総括に入りたい。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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