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東京競売ウォッチ

2026年07月07日

第798回 老人ホームの区分が競売対象に

 老人ホームの需要は高齢化社会において旺盛で、その状況を背景に老人ホームへの投資ニーズもある。しかし、1棟の老人ホームは投資金額が多額になり、投資しにくい。そこで1棟老人ホームを区分登記し、1部屋単位で投資できるようにした事業がある。

 6月17日開札では東武亀戸線「小村井」駅徒歩約6分に立地する介護付き老人ホームの1部屋(専有面積約4.5坪)が競売対象となった。対象の部屋はその介護付老人ホームの運営会社が借り上げしていて、賃料は月額8.3万円である。現状この部屋には老人の入居はなく、倉庫として使用しているが、賃料支払いに変わりはない。この老人ホームは築20年であるが、最低売却価額は960万円であった。

 それに対し入札は3本入り、最高価1178万円にて再販業者が競落した。競落価格+滞納管理費等での年利回りは表面8.4%弱であるが、管理費等、固定資産税等を考慮した実質利回りは年約7%の水準である。通常のワンルームマンションでは魅力的な利回りに映る。仮に再販利益を200万円以上見ても年実質利回り5%以上は確保できると考えると良い競落であったと感じる。

 ただ問題は築20年経っている状況で、施設の改修が必要になってきそうであるが、区分所有者の負担がどうなるかが見えないことである。また運営事業者の事業採算性悪化で賃料の値下げのリスクも考えられる。その辺を投資家がどう捉えるかが再販成功にあたってはポイントになってくるように思う。対象の部屋にはバス、キッチンがないことなどもあり、あくまで老人ホームとして運用するしかないので借り手である運営事業者が優位な物件であるのは確かであろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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