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東京競売ウォッチ

2013年2月5日

第167回 2012年の競売市場総括(下)

 前2回で2012年の東京地裁競売市場を振り返ったが、今回は本年2013年の予測を行いたい。さて、本年を占うにあたっては、2つの事柄がそのチェックポイントだと考えている。

 1つは新政権の金融緩和策の効果である。この政策により、不動産融資が出やすくなれば、不動産価格が上昇する傾向になる。とすれば、競売物件への入札は多くなり、かつ競落価格の売却基準価額への上乗せ率も上昇することになろう。

 これについては、先週もこの欄にて紹介したが、すでに昨年の終わりには、それを先取したかのように、競落1物件あたりの入札本数が増加してきている。

 政策の効果が見えてくれば、さらに増加するように思う。

 もう1つは、今年3月の中小企業金融円滑化法失効の影響である。表は昨年の東京地裁本庁における配当要求終期の公告の件数である。配当要求終期の公告は差押のすぐ後に行われるので、競売市場の対象物件数についての先行指標になる(約6カ月程度の先行指標)。

 ちなみに、配当要求終期の公告がなされた物件の2~3割は任売などで、入札に至らない。したがって、今のところ入札対象物件は年間2000件ペースと思われ、昨年、一昨年と同じレベルである。これが先の法律失効により、増加基調になるのか、注目である。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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