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東京競売ウォッチ

2011年9月13日

第106回24本の大量入札2物件

 東京地裁は相変わらず高競落率で、9月1日開札でも不落札はわずか1物件であった。

 ただし、競落1物件あたりの入札本数は平均で8.8本と前回(8月18日開札)に比して4本弱の下落であり、この点から考えれば、やや沈静化している感もある。

 そんな中、この日、下町のワンルームマンションに大量入札があったのに目を引かれた。

 その物件は京成本線「お花茶屋」駅至近に位置する築約19年で、専有面積約5.3坪の部屋であった。占有者は買受人に対抗ができない、明渡し猶予6カ月対象者であり、月額5.5万円で賃貸中である。

 この物件の売却基準価額は401万円で、これに対し、入札24本が入り、最高価621万円強で個人が競落していった。次順位入札者である業者と20万円ほどの差での落札である。

 ワンルームマンションは収益目的であるので、競落人はおそらくは、現在の賃借人に対し、賃貸を継続する意向であろう。管理費等や固定資産税等を差し引いた実質年収は約54万円なので、競落価格は年利回りで8%台後半の水準である。

 また、この日、同じ24本の大量入札があった物件があったが、それは練馬区の築約25年の木造アパートであり、やはり個人の落札であった。

 800万円近い年収が見込めるところから、売却基準価額2,687万円に対し大幅上乗せの6,111万円強にて競落されていった。

 個人の収益物件へのニーズは底堅いようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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