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東京競売ウォッチ

2010年11月1日

第64回活況な中古マンション

 中古マンション市場は低額マンションを中心に活況であるということだが、高額物件の方はどうであろうか。

 10月19日開札では、東京臨海高速鉄道「天王洲アイル」駅徒歩4分に立地する高級大型団地マンション・ワールドシティタワーズの専有面積約40坪の部屋が対象となった。売却基準価額6930万円に対し、入札が10本入り、最高価1億2507万円強にて落札された。専有面積坪単価は約313万円である。

 このマンションの最近の中古市場での成約状況を見ると、当該物件の同一棟内の事例は専有面積坪単価が約280~320万円程度である。それを考えると、今回の落札水準は高いように感じるが、本件が上層階(42階建ての39~40階のメゾネットタイプ)であることや、広い専有面積でえるという希少性から、こういった落札価格になったとも考えられる。

 ちなみに、このワールドシティタワーズは今年2月と4月に2回、他の部屋が落札されている。このとき落札の専有坪単価は、それぞれ256万円と266万円であった。これらの結果と今回の結果から、やはりこのところのマンション市場の堅調さは感じられる。

 しかし、一方で都心の高額賃貸マンションは空室が多く、賃借人付けに苦戦しているとの話をよく聞く。先のワールドシティタワーズも賃貸募集中物件は多い。

 マンションは今、賃貸不調の中の売買活発化という、過去にない珍しい状況にある。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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