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東京競売ウォッチ

2015年11月10日

第298回 今年最高額30億円で落札

 約1カ月ぶりの開札となった10月8日開札は相変わらず活況であった。とくにこの日、目立ったのは今年最高額での落札物件である。その物件はJR山手線「田町」駅徒歩約7分に立地するビルであった。

 築40年近い鉄骨鉄筋コンクリート造で、地下1階地上10階で1階がスーパーマーケットになっている。建物の延面積は1,700坪強あるが、競売の対象が敷地(約225坪)すべてであるものの、建物については全体が区分所有建物で、全41室のうち28室であり、すべてではない。つまり13室は件外建物なので、建替えや、売却処分において1棟物件に比べてさまざまな障害がある。

 この物件の売却基準価額は12億59万円であったが、これに対し入札は4本にとどまったものの、競落された価格は30億円に上った。競落したのは合同会社で、おそらくは不動産ファンドのSPCであろうと思われる。

 最近、東京の外資が不動産を中心に積極的に投資するとの報道が目につくが、本件も外資がからむ不動産ファンドの投資であるかもしれない。本件のように権利関係が複雑でないものが、投資対象としては良いのであろうが、なかなか好立地でまとまった金額の投資物件がないのだろう。

 本件は国道1号線と慶應大学に挟まれた立地というなかなか得難い土地であり、大幅な上乗せ落札となったようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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