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東京競売ウォッチ

2025年10月28日

第765回 学習塾がテナントのビル競落続く

 10月8日開札日の一番人気で27本の入札を集めたのはJR総武線「小岩」駅徒歩8分の土地付建物で、学習塾の教室として賃貸利用されている。土地は30坪強で建物は築41年の鉄骨3階建ての物件であった。

 さらにこの日、同じ事件番号でこの物件から少し離れたところに同じ学習塾が教室として利用している土地建物が入札24本を集め2番人気であった。こちらは土地が50坪あり、そこに築37年の鉄骨4階建ての建物が同じく学習塾として利用されている。1番人気の方は売却基準価額3825万円に対し競落価格は8210万円であり、2番人気の物件は売却基準価額5880万円に対し競落価格は1億3523万円であった。

 実はこの2番人気の競落物件の隣は今年7月9日に競落された同じ学習塾がテナントであるビルであった。同じ商店街通りに面し、土地は約30坪で建物は鉄骨3階建の建物で、今回の2番人気の教室ビルと同じ築後約37年経過したビルであった。この物件の売却基準価額は3824万円で、これに対しこの日一番の大量入札51本が集まり、最高価9200万円にてこの塾の経営権譲渡を受けたと思われる会社が競落していった。

 しかし今回は2物件とも前回の競落者と違う競落者で、学習塾の賃借権は競落者に対抗できるものではないことから、明渡を前提とした競落である可能性がある。今後は塾としての営業が継続されないかもしれない。「小岩」駅の南口では大規模な再開発が進んでいて、これに伴う賃料上昇を期待し賃貸マンションなどへの転向を競落者は考えている可能性がある。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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