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東京競売ウォッチ

2017年6月27日

第374回 競落するも代金不納付のマンション再落札

 競落されても競落者が代金を納付しない場合、再び入札に付されることになる。その場合、当然先に競落した競落者が納めた入札保証金は返還されず、債権者への配当原資となる。そして再入札時の売却基準価額は最初の入札時と同金額である。

 さて昨年2016年12月22日に競落されたマンションが、競落者の代金不納付のため再度入札され、今年5月25日に再競落された。そのマンションは、東京メトロ千代田線「北綾瀬」駅徒歩約11分に立地する、専有面積約11坪の2DKである。築後3年経過した古いマンションであるが、売却基準価額289万円は安いと判断されたか、昨年6本の入札があり、490万円にて競落された。

 しかし、代金不納付であったが、これは競落者がかなり割高の取得になってしまうと判断し、入札保証金58万円弱を放棄して取得を断念したのだろう。確かに競落代金に、加え滞納管理費等が130万円程度あったことを考慮すると、昨年の競落価格では原価650万円前後となり、そこから内装費用などを考えると市場価格を上回ってしまうかもしれない。今年の落札価格は昨年より200万円弱低い297万円であり、この落札であれば、割安感がありそうだ。ちなみに今回の落札者は個人であった。

 落札競争は厳しい状況であるが、市場価格を見据えて入札価格は決めねばなるまい。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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