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東京競売ウォッチ

2009年11月30日

第19回 築地の築33年マンションに37入札

 11月19日開札では、事前取下げの物件以外すべて応札があり、落札率100%の完売であった。

 活況の競売市場であるが、この日一番人気だった物件は築年が古いマンションであった。これまで大量入札のマンションは比較的新しい築年のものが主であったが、この日は築33年を経過した物件に37本が集まった。

 その物件は地下鉄日比谷線「築地」駅徒歩7分に立地する専有面積16坪強の1LDKの部屋である。売却基準価額893万円に対し、落札価格はその約2.9倍である2,554万円であった。築年が経ったマンションは内装費などが多くかかると思われるが、それにもかかわらず、大きな上乗せである。

 また、この日、収益向けワンルームにも大量22本の入札が集まっている。その物件は同じく日比谷線「三ノ輪」駅徒歩9分に立地する専有面積約6.5坪の部屋である。築20年が経過したこの物件は、賃料月額7万円にて賃貸中である。管理費等(月額12,580円)、固定資産税等(年額4万円弱)を差し引いた実質年収は約65万円である。

 この内容で売却基準価額は328万円、これに対し最高価が539万円で、個人が落札していった。年12%程度の水準である。ちなみに、この物件は吉原神社にほど近く、特殊浴場が点在する地域であるが、それでも利回りを求めた投資家の入札があったことに目を引かれた。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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